脱税、名簿流出疑惑参考人質疑

座間市幹部の脱税関与事件

　神奈川県座間市の幹部職員の脱税関与事件で、同市議会総務常任委員会は２７日幹部職員と所得税法違反（脱税等）容疑で横浜地方裁判所から有罪判決（控訴中）を受けた同市入谷の農業者（６７）の代理人（弁護士）が参考人として出席､質疑に応じました。

　市幹部職員は､自治労座間市職員組合（連合系）の元幹部で、前保健福祉部社会福祉課長（５４）。農業者から３１００万円を借用した事実と、非公開の年金受給者名簿を架空領収書作成に使い、農業者に提供したと認めました。「組合の闘争資金ではないか」との疑問が出ている３１００万円の借入金は「個人的に借りた」と語りました｡

　前課長が借りたという３１００万円の借用書には、同組合委員長、副委員長、書記長（前課長）の名前が連ねられ、組合印が押されています。組合側は、「個人の借金」としていますが、農業者の１審判決では、「組合の闘争資金」と認定しています。　この点を問われた前課長は、農業者からの指示で組合名義の借用書を作成し、これに委員長がかかわっているとしましたが、組合印は「無断で押した」とのべ組合とは無関係と繰り返しました。

　一方農業者の代理人は平成２年（１９９０年）に当時の組合委員長から組合資金が足りないので貸してほしいと頼まれ、組合の「裏資金」として貸し、３１００万円の借用書（平成７年（１９９５年）１月９日）とは別に、１５００万円と５００万円の借用書２通（平成６年（１９９４年）１２月１９日、同２１日）あると答えました。資金貸し出しの理由は、反共の組合をつくり、北方領土返還のためなどと説明しました。　農業者への架空領収書発行問題で、前課長は「借金をしている後ろめたさから軽い気持ちで書いた」とのべ、勝手に年金受給者名簿を使い、印鑑も購入して押印したと語りました｡３１００万円の使途は「プライベートなことで答えられない」とのべましたが、一部は組合員勧誘の飲食代にあてたと語りました。

背景、２つの組合、市民の声

　同市には、自治労座間市職員組合（連合系）と事件とは無関係の自治労連座間市職員労働組合（全労連系）があります。座間市職員組合は座間市職労から分裂した第２組合です。

傍聴した、同市座間の主婦（４３）は「個人のプライバシーにかかわる名簿を私利私欲、脱税のため利用したことは許せない。組合資金か、個人の借金かの食い違いが出ており、その背後関係も不愉快。あいまいにしないで徹底解明してほしい」と話しています。(しんぶん赤旗１２月２８日)