日本が米軍と結んでいる日米地位協定とは、安全保障条約第6条に基づいた、日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定のことです。
◎安全保障条約第6条とは
安全保障条約第6条は、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」というものです。現行の地位協定は1960年1月に締結されました。
◎問題の多い日米地位協定
例えば第3条では、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」とし、合同委員会で協議の上で、基地の外でも米軍の権利が及ぶとしています。第17条では、米兵犯罪の刑事裁判権を規定し、公務中の場合の第1裁判権は米側に、公務外の場合は日本側にあるとされていますが、日本平和委員会の調査によれば、2017年の米軍関係者による犯罪に対し日本政府が裁判権を放棄した不起訴率は82.8%、つまり約17%しか起訴されないということで、しかも、住居侵入、強制わいせつ、強制性行、暴行などはいずれも起訴率0%だということです。このほか、基地周辺住民による爆音訴訟に対しては、ほとんどの訴訟で爆音被害の賠償金が確定していますが、米軍が賠償の支払いを拒否し、日本側が立てかえているということも大きな問題です。アメリカ側は、米軍基地は日本政府が提供しているので米軍の通常の軍事行動から生じる爆音の損害補償は日本政府が負担すべきだと主張しています。また、第4条では米軍基地の原状回復義務を米軍に課していないため、環境汚染についても大きな問題となっています。世界にある米軍基地の状況と比較しても、国内法が適用されない、管理権がない、飛行機事故の際にも捜査等を行う権利が行使できないなど、多くの問題点があります。
◎地位協定は支障がない、という座間市政
2019年12月議会の一般質問で地位協定があることによって本市が受けている影響について質しましたが、市長室長からは「行政運営上支障はない」との答弁が、再質問・再々質問を通じ、3度繰り返されるだけでした。米軍族所有の軽自動車にかかる税金は僅か3000円であるというのにです。座間市の市是は「基地の整理・縮小・返還」です。まるで主従関係のような日米安保や地位協定でなく、対等平等な友好関係を作るために、これからも声を上げていきましょう。【星野久美子 記】 |