2002年4月 第186号 2002年3月議会報告特集


老人ホーム百床増設でもまだ不足
介護保険、低所得者対策が急務

 介護保険制度導入から二年が過ぎました。「介護保険料が高い」「利用料が以前の倍になった」「老人ホームに空きが無い」などさまざまな意見が党市議団に寄せられています。そこであらためて、座間市の介護保険の現状と問題点、改善点について報告致します。

 市の六十五歳以上の高齢者は、昨年十二月末現在で一万四千七百三十八人で全人口に占める高齢化率は11・7%(全国平均16%)です。要介護認定者数は昨年十一月現在で千五百五十三人で、その内サービス受給者は千三百二十人で利用率85%、内訳は在宅が九百九十六人、施設が二百二十四人の利用となっています。特に、事業計画に対する利用率は訪問介護69%、訪問入浴介護63%、訪問看護57%、訪問リハビリテーション38%などにとどまっています。低所得者にとって、利用料の一割負担がサービスの制限につながっていると言われています。利用料減免は国の責任との立場をとっている市長に対して、党は市独自の減免策が当面大事だと強く求めています。また、保険料が高いというのは、市の保険料が平均月額二千八百四十八円ですが、年金からの天引きが一回五千七百円、普通徴収で三千五百八十円と割高になっているからです。普通徴収の百七十四人が滞納しています。市は昨年十月から低所得者の独自減免を実施していますが、実績は四十五人にとどまっています。党市議団は減免策の拡充を強く要望しています。
 老人ホームの待機者は、市内で制度発足時の4倍の二百人になっています。そこで新年度予算で、ベルホームの百床建設を支援し、計画を一年早めて百五十床を二百五十床に増設します。しかし、待機者はそれでも百人を超え、さらに増え続ける現状のもとで、介護老人福祉施設の促進を国に働きかけるとともに、市の計画の再検討が急務となっています。

67〜69歳の医療費助成制度を廃止
2700人を超す陳情に応えず
 座間市ではこれまで高齢者の負担を軽減するため、六七歳から六九歳までの医療費の助成をしてきました。ところが、国が七十歳以上の老人保健法を見直す方向にあるとして、十四年度予算で今年十月以降に六七歳の誕生日を迎える人を対象に廃止を打ち出してきました。
 一方、助成制度の廃止を行わないよう求める2700人を超す陳情が市議会に提出されました。陳情審議は、柏木育子議員が委員会審議の中で採決するよう求めましたが継続審議となりました。
 市の高齢者医療費助成制度は、二十八年間も続いてきただけに、高齢者に与える影響は大きく医療福祉の後退になります。
 国が毎年のように医療費の値上げを行い、弱い立場にある高齢者に、さらに痛みを押し付ける政策を進めています。そうしたときだからこそ、地方自治体は、そこに暮す市民の生活と健康を守る責任があります。
 医療費負担が重く、病気がひどくなるまで医師にかからないため、かえって医療費がかさみ、結局国保財政の負担が多くなり、市の財政に影響を及ぼします。
 共産党議員団は、現在の制度を維持しさらに拡充するようこれからも市に求めていきます。



中小業者の切り捨て許せない
市が制度融資の廃止を決める
 座間市は商工政策の柱として、これまで市内の中小企業者に運転資金(一千万円以内)、設備資金(二千万円以内)、年末資金(五百万円以内)を銀行を通じて融資してきた。
 市は今年からこの制度を廃止し新たに金融機関からの事業資金融資に対する利子補給制度を設けた。廃止の理由は制度融資の実行件数が伸びず費用対効果を考えてのことという。しかし、これまでの制度融資は、中小零細業者にとって資金面を支える重要な商工振興策であった。ましてや昨今のように銀行の貸し渋りや貸しはがしが強められている状況のもとでは中小零細業者にとって“命綱”となるべきものである。第一次石油ショックの資金不足の折(七四年から七六年)、銀行から見はなされた業者を救ったのは自治体の制度融資であった。
 市は利子補給制度の方が利用者が増えると見ているが、制度融資は本来、銀行から見はなされてしまうような企業に手を差しのべるものとして存在してきたもので、利子補給という後追い的なものでは商工振興策とは言えない。制度の改善を図ることなく一気に廃止したのは、中小業者の切り捨てにつながり許されるものでない。



傍聴の目
◆「ムネオハウス」が流行語になっている。共産党の佐々木憲昭衆院議員が自民・鈴木宗男氏の疑惑追及で使われた言葉である
◆宗男疑惑は外務省にとどまらず国土交通省防衛施設庁など省庁横断的な様相。厚木基地隣接排煙問題での業者に51億円の国費補償にも関与したと言われている。自民・公明など与党は、共産党などの議員辞職要求や証人再喚問を拒否しているが「疑惑のデパート」と言われるように疑惑は一層広がっている
◆この状況を受け、党市議団は三月議会の最終日、「深刻な政治不信を招いた責任は重大である」として「鈴木宗男衆院議員の辞職を求める決議」を提出した。これに対して市民の党、無会派は賛成したが、公明、自民保守が反対し、宗男氏の地元の釧路市議会は可決したというのに、座間では否決してしまった
◆決議に反対した会派議員は、疑惑を擁護し「政」と「官」と「業」のゆ着を容認するものとして、市民の強い批判を呼ぶことになるでしょう。



3月議会での日本共産党一般質問

3月議会の概要
 三月定例議会は、二月二十七日から三月二十二日まで開かれ、一般会計予算など三十八議案と陳情・請願などを審議しました。
 二〇〇二年度一般会計予算は、三〇二億八三〇〇万(前年当初比三%増)。国保、老人保険、公共下水、水道、介護保険の五特別会計を含む当初予算総額は五六二億一三九七万円余(同三・三%増)。
 新年度予算では、小児医療費助成を三歳児までに拡大、ファミリーサポートセンター機能を設置。問題の六十七歳〜六十九歳の医療費助成制度の廃止や、中小企業の融資制度の廃止が盛り込まれた内容となっています。
 日本共産党は、三十八議案中八議案に反対、三十議案に賛成。意見書など議員提案十二件、請願・陳情二十四件で、総括質疑・討論を中沢議員。一般質問は菊川、柏木両議員が市民要求実現に向け論戦しました。

総括質疑 中沢 邦雄議員
(1)今日の経済情勢と予算編成の特徴、(2)市税の個人・法人市民税の減額理由、(3)地方交付税の減額とあり方について、(4)市債発行二十億六百二十九万六千円の発行と臨時財政対策債、(5)新幹線新駅設置促進期成同盟会のあり方について、(6)コミュニティバスの具現化を、(7)ガーデンコンプレックス計画の具体的内容は、(8)私立幼稚園奨励費補助金支払いミスについて、(9)ペイオフ対策と体制、(10)制度融資廃止と中小企業振興、(11)高齢者医療費助成継続を、(12)ひばり丘コミセンの完成は、(13)原水協の記念事業、(14)ISO関係の拡充などについて市長に質疑した。

一般質問 菊川ユリ子議員
 学校五日制、ボラン  ティアでなく専門職を

○五日制に人的配置を
 各学校や児童館に、社会教育主事などの専門職員を配置すべきと質問。
 市長は「行政対応も認めるが、親、地域それぞれが役割を果たす必要性」について従来からの認識をくり返す。
○地域経済振興こそ
 今年から廃止する中小企業融資制度の「継続」を主張、利子補給で商工振興策とは言えないとただす。
 市長は、借り手が少ないので対象件数の多い利子補助で対応していく。と答弁。
○地元業者に仕事を
 小規模工事の地元業者優先発注を。
 市長は、「実施の方向で検討している」と前向き答弁。

一般質問 柏木 育子議員
 少人数学級の実現を!

 座間市の小・中学校の先生一人当たりの児童・生徒の数は、全国平均や神奈川県のそれよりも多くなっています。その上、学校五日制に伴い、ますます先生が忙しくなり、児童・生徒に心をよせていく時間が少なくなってしまいます。新学習指導要領では「一人ひとりにあった教育を」としながらも習熟度に応じて、できる子は先に進んでよいことになっており、できる子、できない子の差別選別が進行していきます。
 子どもたちに学ぶ意欲を持たせ、誰もがわかる教育を進めるために少人数学級を実現するよう求めました。
 その他、学校図書館に専任の司書を配置すること、介護保険の保険料減免枠拡大・利用料の減免などを求めました。

“命綱”を断ち切る予算に反対――反対討論の要旨
 座間市は基地の全面返還を方針としているが、基地が所在している以上、防衛施設庁の民生安定補助事業の生活環境の整備費が最低に落ちこんでいるが努力すべきだ。福祉ミニバスは昨年十月末から平日運行もしているが、平日一台当り0・6人、土日で0・2人と利用人員があまりにも少なすぎ改善が必要である。
 高齢者医療費助成制度は十月に六十七歳の誕生日を迎える人から廃止される。高齢者医療にとって長年に亘って定着してきた“命綱”が断ち切られることになる。
 中小企業融資制度が廃止された。銀行の貸し渋り、貸しはがしが起っている折、業者の“命綱”を断ち切るもので許されない。
 母子家庭の経済的支援制度、児童扶養手当の改悪が地方自治体に押しつけられる。改悪されると、現在の全国の受給者71万世帯の半数近い33万世帯が減額・受給が打ち切られる。平均年収が一般家庭の三分の一程度の母子家庭の“命綱”が断ち切られることになる。
 全国的に一学級の人数を減らす動きが急速に広がっている中、市の教育長は、不登校児生徒が増えているのに少人数学級に消極的で熱意が感じられない。
 市は行革の柱として委託を進めているが、委託料が八年間で八億五千万円も増加しているのは問題である。

主な意見書、決議、請願、陳情の採択結果表
(賛成○ 反対● 退…退場)
  件     名 共産党 政和 市政ク 公明 市民
の党
自民・
明政
無会派 可否 提出者

有事立法(案)に反対する決議について 退
鈴木宗男衆議院議員の議員辞職を求める決議について 退
退1
米英共同、未臨界核実験に強く抗議する決議について


地域経済に影響及ぼすリストラの規制を求める意見書の提出について
児童扶養手当の削減案撤回を求める意見書の提出について 退 共・市政ク

国民の食糧と地域農業を守るための緊急対策を  
脱焼却、ゴミゼロを目指し、グリーンリサイクルを  
小児医療費助成制度の拡充を  
神奈川県地方最低賃金の引き上げ等を  

平成14年度の主な施策
小児医療費助成制度の充実 ……………………144,391
ファミリーサポート事業 ………………………5,309
座間駅エレベーター設置事業 ……………………127,798
ベルホーム100床増床建設事業補助金 ……………………62,718
地域就労援助センター(知的障害者社会参加) ………………………4,535
市借上公営住運営事業費 ……………………48,136
リサイクルプラザ建設事業費 ………………………7,062
ストリートガーデン補助 ………………………400
商店街のホームページ地域ポータルサイド補助 ……………………5,500
生活交通確保対策事業費 ………………………469
ひばりが丘コミセン建設費 …………………154,060
バリアフリー化事業の推進 …………………194,733